U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019観戦レビュー<前半戦>

世界各国からU-12世代の強豪チームが集まって「一番強いチームはどこか」を決める大会。

いわば小学生のワールドカップであるU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ。

前回は、大会の概要について触れてみましたので、今回は実際の試合を観て思ったことを書いてみたいと思います。

U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019って、どんな大会?

 

大会1日目(予選リーグ1日目)の様子


予選はOFA万博フットボールセンター、万博記念競技場、ガンバグラウンドの3か所で行われ、最終日の準決勝・決勝は、ガンバ大阪のホームグラウンドである吹田スタジアムで行われます。

この日は1日で32試合、2試合~3試合が並行して二つの会場(3つのコート)で行われる予定です。

メイン会場となるOFA万博フットボールセンターは、グラウンドサイドの観客席とピッチが近く、じっくり観戦したい人にはちょうど良い会場です。

北摂地域(大阪の北部)で行われるジュニア世代の大会やイベントでは、良く使用されています。

Jリーグのスタジアムでも採用されるハイブリッドターフ®の人工芝を使っており、環境的には申し分ありません。

 

土、天然芝など様々な種類のコートがありますが、水はけや耐久性の良さ、クッション性を考えると、人工芝が一番プレーしやすいように思います。

海外から来た選手にとって、こういった日本の環境や技術の高さをアピールできるのは良いことですし、将来日本でプレーしてみたいと思った選手もいたのではないでしょうか。

実際、各国の選手が芝に触れて感触を確かめている光景が印象的でした。

管理の行き届いたグラウンドはどの国の人にとっても高揚感を掻き立てるものであるのだなと感じます。

 

全体的には、多くの選手に経験を積ませたいという指導者の意向が見える初日であったように思います。

日本では数少ない国際試合であるため、動きが固いチームが多かったです。

そのため、各チーム交代を増やしたり、試合ごとにメンバーを入れ替えたりと工夫している様子が伺えました。

FCバルセロナが3連覇中と海外チームの結果が気になるところですが、ここではあまり触れていません。

試合結果や得点者情報については大会公式HPを観ていただければと思います。

 

運営のスムーズさが際立った大会


ジュニア世代の大きな大会では、運営の手際が良い大会と悪い大会で大きく差が出ます。

時間が遅れるのはある程度仕方ないとしても、インターバルを長く取り過ぎて間延びしてしまうのは考えものです。

試合間が長いと選手もだらっとしがちですし、観ている方もだんだん疲れてきます。

 

この大会では、試合が終わり選手が挨拶すると、ピッチサイドに控えている次の審判と選手が入れ替わるように入場してきます。

しかも2コートが同じタイミングで開始するので、観戦していても試合を待っているという感覚がほとんどありませんでした。

会場の入り口では、チームの紹介や選手名簿が載っているパンフレットが配られます。

「ここはどこの国のチームだろう」「あの選手すごく上手だけど年下なんだ」などと思いながら観ているとあっという間に時間が過ぎていきます。

また、得点が決まった場合は、誰が決めたのかというのを放送してくれるので、隣のコートの試合経過もなんとなく伝わってきます。

別会場の結果もボードに貼りだされており、公式HPもリアルタイムで更新されるため、どこにいても結果を知ることができました。

こういった運営のスムーズさは、観る側の立場としてはうれしいところです。

 

1日目は夕方に激しい雷雨があり、試合が一時中断する時間帯がありました。

急なアクシデントにも関わらず、選手や観客を建物の中へ避難するようアナウンスするなど、安全面にも配慮されていました。

大勢の子供が集まる大会では、こういった安全面の対策も必要であるなと感じました。

 

観戦1試合目 レジェンズFC vs TURF CITY FC


1試合目は、北米予選を勝ち抜いたレジェンズFC対、東南アジア予選を勝ち抜いたTURF CITY FCの対戦。

レジェンズFCはアメリカカリフォルニア州のチーム。ターフシティFCはシンガポールのチームです。

どちらのチームも保護者が熱心に応援しているのが印象的でした。

レジェンズFCは観客席から声援(チャント)が聞こえてきたり、お母さんが「Chase it!(追っかけて)」と声を掛けていました。

ターフシティFCは日本人の選手も所属しており、いわば凱旋試合になります。

たまにしか会うことができない家族や親戚の方にとっては、頼もしい試合になったのではと思います。

 

観戦2試合目 ナイジェリア選抜 vs 湘南ベルマーレアカデミー選抜


2試合目は、ナイジェリア選抜対、湘南ベルマーレアカデミー選抜。

ナイジェリア選抜は今回初めてアフリカから参加しています。

過酷な生活環境、砂場のような練習場、人身売買帽子の観点からパスポート取得も非常に時間とお金がかかる、そんなところを全部乗り越えて、…(大会パンフレットより)

とチーム紹介にあるところをみると、日本の子供たちはとても環境に恵まれていると感じました。

一方の湘南ベルマーレアカデミー選抜も、育成に定評のある良いチームで、今回は強化特待クラスが参加しています。

 

前半は両チーム固さが目立ちましたが、徐々にナイジェリアがボールを支配する時間が長くなっていきます。

ちなみにナイジェリア選抜の最年少は2010年2月生まれなので、日本で言う小学3年生です。

湘南の選手と体格は変わりませんが、足が速く、左サイドをグングン駆け上がっていました。

 

湘南はボールを扱う技術は高いのですが、ボールをキープしたり、突っつける範囲がナイジェリアの方が圧倒的に広かったです。

『身体能力の差』は、この世代からすでにあるということです。

 

観戦3試合目 広州富力蹴球倶楽部 vs 横浜F・マリノスプライマリー


3試合目は、広州富力蹴球倶楽部対、横浜F・マリノスプライマリー。

広州富力(こうしゅうふりき)は2015年に発足した比較的新しいチームです。

中国のチームですが、監督やコーチの一部は日本人が務めており、急速に力をつけているチームです。

長身のフォワードを活かし、ヘディングでゴールを狙うシーンが多かったです。

 

横浜F・マリノスプライマリーは、数々のJリーグ選手を輩出する名門です。

足元の技術やパスワークは非常に鍛錬されており、ボール奪取に広州冨力が苦戦しているようでした。

ディフェンダーにキックの上手い選手がいて、良いボールが何度も出ていました。

 

観戦4試合目 FCバイエルン・ミュンヘン vs ヴァンフォーレ甲府 U-12


3試合目は、FCバイエルン・ミュンヘン対、ヴァンフォーレ甲府 U-12。

初参加となるバイエルン・ミュンヘンは、守備とビルドアップのしっかりしたチームでした。

背の高いブンデスリーガのイメージ通りのディフェンダーがいて、足元の技術はもちろん、両足から正確なボールが配給されていました。

ヴァンフォーレ甲府は、パスワークがとても優れていて、バイエルンのゴールを脅かすシーンを何度も作っていました。

しかしながら、その何度かあった決定機を決めきれず結果引き分けとなってしまいました。

バイエルンからゴールを決めた最初の選手になるチャンスだったので、ちょっともったいなかったです。

実力のあるチームでしたので、この辺りを決めるかどうかでその後の戦いがより変わっていったのではと思います。

 

観戦5試合目 北海道コンサドーレ札幌 U-12 vs エコノメソッドスクール選抜


5試合目は、北海道コンサドーレ札幌 U-12対、エコノメソッドスクール選抜。

コンサドーレは、スピードのあるフォワード陣がサイドから攻めあがってくる攻撃的なチーム。

ボールを追い越して後ろからどんどん選手が出てくるので、エコノの守備陣は手を焼いているようでした。

 

エコノメソッドスクールは各スクールから選抜されたチームで、スペイン人のコーチが監督を務めています。

監督が話すのはスペイン語で、試合中の指示は通訳の人から日本語で飛んできます。

エコノメソッドと大会を主催するAmazing Sports Lab Japan社は、山梨県にジュニアユースに寮を完備した「グランデ・アメージング・アカデミー」を開設しています。

親元を離れ、学校に通いながらサッカーと勉強の両立を目指すことになるので、海外選手に負けないハングリーな選手が出てくるかもしれません。

 

広いスペースをどう使うかに、早く気付けるかどうか


1日目の前半戦を観て感じたのが、両サイドのスペースの使い方です。

今回は大人と同じ広さのピッチを使うため、両サイドに大きなスペースができてしまいます。

どのチームも中央をドリブル突破するようなシーンはほとんどなく、サイドからどう崩していくかがポイントになっていました。

このことに早く気付けたかどうかが、勝敗を分けていたように思います。

ナイジェリア選抜は、センターバックの技術が高く、常に裏のスペースを狙ったパスを供給していました。

①ダイレクトにディフェンダーの裏のスペースを狙うパス。

②中央に一旦縦パスを入れて、そこからサイドのスペースを狙うパス。

③サイドバックに預けてそこから縦へ抜けていくパス。

センターバックのボールの持ち方を見ながら、選手全員がこの3つの攻撃をイメージして動いていました。

 

相手に取られにくい位置にボールを置き、受ける側が取りやすいボールを出す。

選手の中でどっちの足を使って蹴るべきかが整理されているのが伝わってきます。

利き足の概念が強い日本のチームではまだできていないところであると思います。

 

また、海外のチームはキックの精度が高いというのも発見でした。

特にロングパスの飛距離や正確さは、明らかに日本の選手より優れているので、どんな練習をしているのか気になるところです。

蹴り方や蹴るまでのスピード、強さや回転を含めた質は、年代が上がっていくごとに求められるので、早めに身に付けておくべき技術だと思います。

ロングキックの蹴れない日本の選手は、パスの選択肢が少なく相手に読まれることが多かったです。

 

以上、5試合を見たところで、お昼休憩となりました。

気温がグングンとあがって、日本の夏になれていない海外選手にとっては、厳しい環境だったように思います。

午後は別会場の万博記念競技場でFCバルセロナの試合が行われるため、移動してレポートしていきます。

U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019観戦レビュー<後半戦>

Scroll to top