Panasonic EZ(パナソニック イーゼット)って、どんな自転車?

Panasonic EZ(パナソニック イーゼット)は、2007年にBEAMSとのコラボ商品として発売された「BP」が原型となっています。

プレスリリースには、“これまで電動自転車に興味の無かったユーザーが「乗りたくなる自転車」”とあり、当時としては珍しいモトクロス型の電動アシスト付き自転車でした。

無骨でミニマムなフォルムは、発売当初からスポーツやアウトドアが好きな大人だけでなく、子供たちからも評判を得ています。

「BP BE-1EPZ01」オレンジ
「BP BE-1EPZ01」グリーン

引用:Panasonicプレスリリース

 

「BP」はWEB販売のみの200台限定でしたが、後の2008年にパナソニックモデル「EZ」として発売されることになります。

ニッケル水素乾電池からリチウムイオンバッテリーへ変更となったことで、すべて使い切ってから充電するという手間がなくなりました。

その後もカラーが増えたり、3段変速ギアが付いたり、バッテリー性能が上がったりとマイナーチェンジしていきます。

BPの語源はBEAMSとPanasonicの頭文字にも見えますし、かなり実験的なモデルだったようです。

 

変わらない新しさ。モダンアナクロニズム。


B:マットナイト(B5L)2018年モデル
G:マットオリーブ(GB5)2018年モデル

引用:Panasonic HP

 

EZ」の特徴として興味深いのが、初代「BP」から車体のベースとなるフレームがほとんど変わっていないことです。

おそらくですが、車体デザインは原型を残しつつ、色やモーターやブレーキといった付属品を新しいモデルにしています。

開発競争の激しい電動アシスト自転車の中では、かなり珍しい車種であると言えます。

 

一般車のイメージが強いPanasonicですが、実はレース用ロードバイクの老舗メーカーであり、オーダーメイド自転車の先駆けとしても知られています。

この伝統的なアイデンティティが、デザインコンセプトに反映しているのかもしれません。

 

ユーザー視点でいうと、旧車体であっても最新の部品に取り替えることができるのはメリットです。

長く使いたい、少しずつカスタマイズしたいと考えている方には、このアナクロさが好奇心をくすぐる自転車とも言えます。

 

他の電動アシスト自転車にはないストイックさ


T:マットゴールド(T3K)2018年モデル
T:マットゴールド(T3K)2018年モデル

引用:Panasonic HP

 

もう一つ特徴的なのが、正規のオプションパーツがほぼありません。

実用的なものは泥除けセットくらいです。(逆に言うと、ノーマル車は泥除けも付いていません)

あくまでも「エレクトリックモトクロス」というコンセプトをこの自転車は貫いています。

これは、開発段階でも意見が分かれたところだと思いますが、結果的にはこのストイックさが「EZ」の魅力になっています。

 

したがって、一般的なママチャリとしてはとても使い勝手が悪くなります。

代表的なところでは、「前カゴが付いていない」「後ろに子供乗せが付けれない」「両足スタンドでない」「リング錠でない」という点です。

他にもまだありますが、これだけでもEZを買わない理由には十分事足ります。

 

正確には、前カゴを付けない前提になっている


引用:Panasonic HP

「EZ」には、前カゴがありません。そもそも、前カゴを付けない前提で車体がデザインされているというのが正解です。

そのため、よく見ると必要な場所にネジ穴がなかったり、強度を上げるための前輪と繋がる金具がありません。

 

では、車体の前方にあるL字の金具は何かというと、荷物を括り付ける荷台になっています。

前方のL字金具の下側には、紐を引掛けるフック(一般的な自転車の後部荷台にある突起)が付いています。

公式の最大積載量が2kgしかなく、毎回紐を掛けるのは面倒なので、実際にこの荷台に荷物を括り付ける人は少なそうです。

横に伸びるフレームラインを強調したいという意図で、あえて余分な金具を付けなかったのかも知れません。

 

後ろに子供乗せチャイルドシートが付けられない


引用:Panasonic HP

この自転車を一番欲しいと思う年代は、「ファッションが好きで、日常もおしゃれを楽しみたい子持ちの若いパパやママ」であると思います。

特に、今までクロスバイクやMTB、BMXを乗ってきた人であれば、一般的なママチャリに近いデザインの電動アシスト自転車に抵抗がありそうです。

そして、彼らが電動アシスト自転車を選ぶ理由は、「今までの感覚に近い、子供乗せができる電動アシスト自転車が欲しい」ということ以外はあまりないように思います。

 

ところが、「EZ」はリアキャリアの最大積載量が10kgと、購入の要となる子供乗せチャイルドシートが取り付けできない仕様になっています。

おそらく、フロントの荷台と同様に、後輪へ繋がる金具がないため強度が足りていないという理由からです。

 

本当は、「子供乗せできるエレクトリックモトクロス」が理想だったけど、結果的に子供乗せにしなかったのではと想像します。

MTBやBMXのように、なるべく引っ掛かりのないシンプルなデザインを重視したのかもしれません。

この辺りも、開発段階で議論されたと思いますが、おそらく強度的な問題や安全面から見送りとなっていそうです。

※ネット上では、オフィシャルではありませんが、荷台を変更してチャイルドシートを取り付けているEZのカスタムを見ることができます。

大好きなボールをおしゃれに持ち運ぶボールネット<フック付き>(ミリタリーグリーン×カモフラ)

両足スタンドでない


前述のように後ろ乗せは難しいですが、小さい子供ならフロント用のチャイルドシートは使うことができます。

しかし、「EZ」は、片足スタンドが標準となっていますので、安定性のある両足スタンドへ変更する必要があります。

前カゴ同様に別途購入が必要であり、サイクルショップによっては安全面から断られるケースがあるかもしれません。

また、ハンドルの形状がVの深いモトクロス仕様なので、取り付けできるチャイルドシートの種類も限られています。

 

リング錠でない


「EZ」は、リング錠ではなく、ワイヤー錠が標準装備となっています。

「エレクトリックモトクロス」のデザインコンセプトや、フレームの形状から取り付ける場所がなかったという理由が推測されます。

荷物が多く、頻繁に乗り降りする子育て世代にとって、毎回のワイヤー錠はかなり面倒な作業になります。

しかも、「カゴがないのにワイヤー錠はどこにつけておくの?」という疑問もあります。

あえてワイヤー錠にするなら、使わない時はスマートに収められる仕様にするなど、次回以降のマイナーチェンジに期待したいところです。

 

標準装備のバッテリー容量が小さめ


「EZ」に標準装備されているバッテリーは、8Ahと電動アシスト自転車の中では比較的容量が小さめです。

容量が小さいと、走行可能距離が短くなり、頻繁に充電をしないといけません。

リチウムイオンバッテリーの寿命は充電回数に比例しますので、充電回数が多いと単純に寿命が短くなります。

 

これは、カゴやキャリアなどの付属品を少なくし、基本一人乗りをイメージしているためだと思われます。

容量を大きくするとバッテリー自体が重くなりますし、電動アシストを使用しないシーンもある程度想定しているのかもしれません。

充電1回の走行距離(パワーモード使用時) が31kmとちょっと物足りないですが、同社のバッテリーと交換すれば20Ah(約2.5倍)までアップグレードできます。

電動自転車のバッテリーは、使用頻度にもよりますが、3年程度で買い替える人が多いようです。

頻繁な充電が面倒な人や体重や荷物が重い人は、容量の多いバッテリーを購入して交互に使うと良いかもしれません。

 

ハンドルを切っても前の荷台が動かない


「EZ」に乗る上で一般車との違いを感じるのが、ハンドルを切っても前の荷台が動かないという点です。

これは、今までの自転車とはかなり異なる感覚です。ハンドルを右に切っても左に切っても荷台はまっすぐなままです。

前カゴを付ける(詳細はカスタム編で)と、より違和感を感じることになります。

荷物の重さでハンドルがとられることはありませんが、車体を方向転換する時に、カゴが動かない分のスペースを余計に必要とします。

慣れない時期は、曲がろうとしたら前カゴが引っ掛かるということが良くあります。

 

もの足りなさのある実用性と、手を加える楽しさ


クロスバイクやロードバイクが普及した理由のひとつに、自分好みにカスタマイズしていく楽しさがあります。

シティサイクルのような汎用性はありませんが、それぞれの用途や目的にあわせて、乗るたびに個性が磨かれていきます。

 

一見すると「EZ」は、モトクロス風の乗りにくい電動アシスト自転車と捉えられ、快適さを求めるユーザーから嫌煙されがちです。

ただ、当初のコンセプトである“ これまで電動自転車に興味の無かったユーザーが「乗りたくなる自転車」”という観点では、その存在が際立ちます。

その後、おしゃれ子供乗せ電動アシスト自転車として登場するBikkeやHYDEEにも影響を与えた一台になっていると思われます。

 

ビームスとコラボした時点で、狙っている客層はマスターゲットではなく、ファッション感度が高くかつ新しいものに興味がある人たちです。

彼らは自転車を単なる乗り物ではなく、ファッションアイコンとして捉え、買い物をしたり子供を乗せているときの姿をもおしゃれでありたいと思っています。

そのおしゃれの内容は、かつてのストイックで孤独なものから、柔軟で安全性が高く子供と楽しめるものへと広がっています。

 

自転車が好きな人にとって、「EZ」はどこか “もの足りなさ” を感じる自転車かもしれません。

「カゴが付いていない」「子供乗せができない」「リング錠でない」「バッテリーの容量が小さい」など、Panasonicの優等生なイメージにはなかった不安が過ぎります。

しかしながら、余分なものが付いていない分、後から手を加える余白がまだ残っているとも言えます。

 

 

その余白は、多くの人が概ね満足するコモディティさから抜け出した、自分の好みやわがままをストイックに表現できる場所です。

「こうだったらいいのに」と誰かに頼るのではなく、「こうできるかも」と自らに問いかけてくれます。

「EZ」という自転車は、乗る人の行動範囲だけでなく、その好奇心をもアシストしてくれる自転車になりそうです。

 

2019年モデルの新色はタンカーイエロー


2019年6月に、「EZ」の2019年モデルが発売されました。

マットゴールドがなくなり、タンカーイエローが新色として追加されています。

聞きなれない色ですが、外国のタンカー(Tanker )にあるようなイエロー(yellow)、少しオレンジがかった黄色です。

CATに代表される向こうの重機のように、ガンガン乗って汚れたり傷が入ってもいい感じになりそうです。


Panasonic EZ 2019年モデル ELZ033 タンカーイエロー(amazonより)

 

2019年モデルは、新色追加以外にもマイナーチェンジがされています。

ライトの位置がハンドルではなく、前の荷台下に装着されるようになりました。

前年度モデルまでの、荷台に荷物を置くとライトが遮られるという問題を改善しています。


Panasonic EZ 2019年モデル ELZ033 マッドナイト(amazonより)

 

また、荷台を外して乗る人も多いようなので、フロントフォーク用の取付金具がオプションに追加となりました。

この辺りは実車をしてみないと何ともわかりませんが、ライトを照らす位置が下がるため視認性が気になるところです。

夜道ですれ違う自転車にとっては、角度が悪いとハイビームになるかもしれません。

 

販売店やユーザーは感じていることをイメージしやすい声やかたちにする。

メーカーはその声の本質を嗅ぎ分け、本当に必要なものをできるかぎり少ない手数やコストでつくっていく。

そういった相互の呼吸により、ものづくりや消費が循環していくことで、より豊かさのある社会に繋がっていくように思います。

Panasonic EZ(パナソニック イーゼット)を、乗りやすくするためのセルフカスタマイズ

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